野菜を直接販売するときの表示ルールや必要な届出を詳しく解説【2022年最新】

最近変わった「食品衛生法」が難しい、よく分からないという話をよく聞きます。

確かに、行政が出している内容の資料は情報が多すぎて分かりにくいですよね。

食品衛生法が改正されたことによって、今までは必要なかったにも関わらず、新たに届出が必要となったものもあります

届出が必要な場合は対応して、さらに表示のルールに従って、正しく販売基準を守りましょう!

藤田彩夏

この記事はこんな方におすすめです!

  • これからマルシェで野菜や果物を販売する方
  • 現在農家から仕入れて野菜を販売している方
  • 自分で作った野菜を消費者に販売してみたい方

本記事では、野菜や果物をマルシェなどで直接販売するための表示ルールや必要な届出をわかりやすく解説していきます。

食品表示基準を守らないと罰則がある

野菜や果物を販売するためには指定の表示ルールを守らないといけません。

なぜなら「食品表示法」や「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」で決まりがあるからです。

いきなり脅すような書き方をしてしまいましたが、特に「食品表示法」は法律で定められた基準のため、守らないと罰則があるのです。

その指示に従わない場合は、内閣総理大臣又は都道府県知事が指示 に従うべきことを命令し(法第6条第5項)、命令した旨を公表することになります(法第7条)。

その命令に違反した場合、行為者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法第20条)、法人は、1億円以下の罰金(法第22条第1項第2号)に処せられることとなります。

消費者庁: 早わかり食品表示ガイド(令和4年1月版・事業者向け)

なかなかパンチのきいた罰則ですよね。

しかしながら消費者目線で考えると、口に入るものなのでしっかりと表記されていないと不安だということも理解できます。

万が一、今まで間違った表記や表記していなかった場合も、今から対応すれば問題ありません。

また、ポイントさえ押さえれば表示は難しくないので、本記事でしっかりおさえておきましょう!

野菜や果物を販売するためには届出が必要な場合がある

表示方法のお話の前に、野菜や果物を販売するために保健所へ届出を提出しないといけない場合があります。

「食品衛生法」が2021年6月に改正されたことによって、全ての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられることになったからです。

改正される以前は、野菜や果物を販売するためには届出の必要がなかったので、今回知らない間に届出の対象者になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

自分が該当するかどうかしっかり確認して、必要な場合はすみやかに届出を提出しましょう!

生産者以外が野菜を販売する場合は届出が必要

野菜や果物を仕入れて販売する場合、2021年6月より届出が必要になりました。

市場からの仕入れはもちろん、生産者から直接仕入れる場合も届出が必要です。

つまり、自分が生産していない野菜を販売する場合には、手続きをしなくてはならなくなりました。

費用は必要ないですが、営業するにあたって「野菜果物販売業」の届出が必須となります。

届出の内容は以下となります

  • 届出者の氏名
  • 施設の所在地
  • 営業の形態
  • 主として取り扱う食品等に関する情報
  • 食品衛生責任者の氏名

営業される地域の保健所へ届出が必要なので、確認しましょう。

「都道府県名 食品営業届出」で検索すると連絡先が見つかると思います。

また、届出はオンラインでも可能です。

オンラインでの届出は、厚生労働省の食品衛生等申請システム(事業者向け)からご確認ください。

PCからのアクセスがおすすめです。

なお、届出を出すためには食品衛生責任者の設置が必要です。

食品衛生責任者になるためには以下の2パターンがあります。

  • 調理師、栄養士等の資格を持っている
  • 食品衛生責任者養成講習会を受講する

現在資格を持っていない場合は、講習会を受講すれば取得できますのでご安心ください!

講習会は営業される各都道府県の食品衛生協会で開催されているので、「都道府県名 食品衛生責任者」で検索するとよいでしょう。

受講費用は各都道府県によって違うので確認が必要ですが、10,000円前後となります。

今まで必要なかったですが、何かあった場合に届出を出していなかったら困るのは自分です。

仕入れ販売をされる方は必ず対応しましょう。

営業届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は、50万円以下の罰金が処せられる可能性があります。

なお、すでに営業中の営業者は令和3年11月30日までに届出が必要となっているので、早めに対応をしてくださいね!

お米を販売する場合は、生産者であっても届出が必要です

生産者が野菜や果物を直接お客様に販売する場合は届出の必要はないのですが、お米販売する場合生産者でも届出が必要です。

こちらも同じく「食品衛生法」の改正から適応されました。

今までは年間で精米後の数量が20t以下の販売量であれば届出の必要がなかったのですが、今回の改正によりお米の取り扱い規模に関わらず、届出が必要となりました。

詳しくは農水省のHPをご覧ください。

お米をマルシェで販売する場合は、営業するにあたって「米穀小売業」の届出が必須となります。

先ほどの「野菜果物販売業」と同じく保健所への届出が必要ですので、「都道府県名 食品営業届出」で確認するか、オンラインで処理を行いましょう。

オンラインでの届出は、厚生労働省の食品衛生等申請システム(事業者向け)からご確認ください。

合わせて、米穀小売業の場合も食品衛生責任者の設置は必須です。

食品衛生責任者を取得するための講習会は営業される各都道府県の食品衛生協会で開催されているので、「都道府県名 食品衛生責任者」で検索するとよいでしょう。

困った場合は営業する管轄の保健所に確認すれば教えていただけます。

また、複数の届出に該当する場合は「その他の食品・飲料販売業」としてまとめた提出が可能です。

お米を販売する場合は仕入れ事業者、生産者に関わらず保健所へ届出が必要ですので、確認するようにしてくださいね。

マルシェで野菜や果物を販売するためのPOPのポイント

届出がクリアになったらいよいよ販売可能です!

販売するために野菜に表示しなければいけないことや、逆に表示してはいけないことのルールが決められています。

POPに書かなくてはいけないこと

マルシェなどで販売するために野菜に表記しなくてはいけない内容が決まっています。

食品表示法」という法律で決められているので、きちんと表記しないと最悪の場合罰則があるので注意してくださいね。

表示のルールは食品表示基準に定められていて、品目によって違います

野菜の場合に必須の表記は以下の2つです。

  1. 名称
  2. 原産地

上記のように、名称については一般的な名称を。

原産地は基本的には都道府県を表示しましょう。

丹波篠山市産、淡路島産など市町村名やその他一般的に知られている地名でも可能です。

合わせて、1個あたり、1袋あたりの金額が同じなら値段も1枚のPOPに書くといいですね!

その場合は税込価格で表示しましょう。

野菜や果物を販売する場合は、名称と原産地は最低限表示してくださいね。

POP以外に必要な持ち物は以下記事を参考にしてみてください。

「無農薬」「減農薬」などの表記はNG

書かなくてはいけないものもあれば、書いてはいけない表記があります。

それは「無農薬」「減農薬」無化学肥料」「減化学肥料」などの表記です。

消費者が混乱を招くことが多いという理由で「特別栽培農産物に係るガイドライン」で定められています。

たしかに「無農薬」「減農薬」はいつから?どの程度?など曖昧な表現ですね。

また、「有機」、「オーガニック」の表記は有機JASマークを取得した商品でないと記載ができません。

有機JAS認証マーク

こだわって生産されている作物であっても、曖昧な表記は避けましょう。

無料であげるときの表記は必要なし

名称や原産地の表記が必要な場合は、あくまでも販売するときだけです。

試食で出す場合やおまけでつけてあげる場合など無料であげる場合は必要ありません。

あくまでも金銭が発生する場合のみ表記の必要性があります。

お米はさらに表示義務があります

野菜ではないですが、生鮮食品であるお米も一緒に販売するパターンも多いかと思います。

お米の場合は、名称と原産地に加えてさらに必要な表記があります。

こちらも食品表示基準法で決まっていることなので、販売する場合はおさえておきましょう。

  • 名称
  • 原料玄米
  • 内容量
  • 調製時期、精米時期
  • 食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号

市販の米袋を使う場合は、裏面を見ると書かないといけない内容が枠内にプリントされています。

枠がプリントされていない場合も記載は必要なので、お米の場合は米袋に必要な表示を記載しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

生産者以外が野菜を販売する場合は「野菜果物販売業」の届出が必要

仕入れ、生産者、販売量に関わらず、お米を販売する場合は「米穀小売業」の届出が必要

POPには表示しないといけないことと、してはいけない内容がある

上記をおさえて楽しく販売してみてくださいね!

野菜や果物をマルシェで販売してみたい方、現在弊社で運営しているマルシェを知りたい方は以下ページもご覧くださいね!

https://umi-marche.com/
https://greenlabo553.com/seseragi/
ABOUT US
藤田彩夏
藤田彩夏
合同会社グリーンラボラトリー社長。 生産地である農村部と消費地である都市部を繋ぐ取り組みと得意とし、マルシェの企画運営を行っている。 地域住民と地域活動に取り組み、合わせて自治体や企業の農林漁業分野のコンサルティング事業も展開。